行き過ぎた「改革」これでは子供たちを守れない

子供たちを守ってきた保育制度

 日本の保育制度は今大きく揺さぶられています。この動きは1997年の児童福祉法改正の頃から始まっていましたが、まだまだ、今後も大きく変わる恐れがあります。また、この問題は保育の話だけでなく、日本の政治経済全体の議論に影響されながら進んでいます。保育園のことだけを見ていては、本当の流れが見えてきません。

一般財源化?

 
現在課題になっていることは、保育所運営経費の「一般財源化」という問題です。保育園の運営を維持するために、国の予算から一定の「国庫負担金」が地方自治体に出ています。これは、使い道が細かく定められた、保育園にしか使ってはいけないお金です。
 今回、これを廃止するという流れになっています。その代わり、国が集める税金のうち、一部の税源を地方に移すという話になっています。ですが、このお金は一般の予算として扱われますから、自治体の裁量で何に使っても良いお金です。これが一般財源化ということになります。
 ところが、税源を移す方の議論は遅れていて、なかなか具体化していないし、金額も少なくなると予想されます。それは、国はそもそも、大幅な財政支出削減を目標に掲げているという状況があるからです。
 結果的に保育園の運営にまわってくるお金が少なくなります。ですから、品川区も含め、各自治体では、今後さらに、保育予算の削減や保育料の値上げが提案されることになるでしょう。では、なぜこのように国庫負担を廃止する必要性があるのでしょうか。

三位一体の改革?

 この話は、地方分権改革という流れから来ています。地方分権は「国の一律の規制を廃止して、自治体の裁量で地域に合った自由な行政を実現する」という考え方です。そのためには、国の持っている税源を地方に移すことが絶対必要条件のはずです。
 そこで出てきたのが、国庫負担削減、地方交付税削減、そのかわりの税源移譲、の三つを一体的に進める三位一体の改革という考え方です。しかしながら、実際には三位バラバラの改革になる恐れが大きいのです。

どうして構造改革?

 構造改革の考え方は、生産性の低い産業を縮小し、生産性の高い効率の良い産業を育てるということです。つまり、業績の悪い企業には退場して頂き、高成長が望める企業にはもっと伸びてもらうという方針です。
この考え方は、道路公団や郵便局の問題などが、さかんに議論されていることからもわかるように、「民間」を推奨し「官」を縮小する考え方に繋がっています。そしてこの考え方は「規制緩和」と「自由競争」がポイントです。

どこが行き過ぎ?

 経済活動としてはおおいに改革すべき点はあるでしょう。ところが、全てをこの考え方で進めることは行き過ぎです。特に子供に関わる部分は問題です。
 保育園が一部の子どもの問題であったときは、「児童福祉」として守られてきました。しかし、現在は「改革」を唱えることが目的となり、子どもたちをどう守るかという視点がおきざりになっているようです。
 「規制緩和」と「自由競争」で福祉がどうなるのか。楽観的な見方はできません。抵抗すべき場所では「抵抗勢力」になることが必要です。

父母連ニュース: 2004年11月号(2004年11月06日発行)